事業計画・事業実績

第16期事業計画(2025年4月1日から2026年3月31日)

開発途上国の農村地域に暮らす人々の経済力及び生活環境の向上と、子どもたちへの教育支援による地域の発展に貢献することを目的に、ネパール国で取り組んでいる当初事業は概ね所期の目的を達成してきたことから、現地と協議を進め、当団の今後の方向を見出すこととする。なお、継続した支援を必要としているものについて次の事業を推進する。

1、開発途上国への農業技術の普及事業

(1)農業技術普及事業

主要産業である農業の振興のため、次の3地区を重点に農業技術の指導を実施する。

〇ヌワコット郡カカニ地区
・地域の特産物であるイチゴの生産安定栽培のための指導を継続して行う。
〇マクワンプール郡ナムタール地区

・葉菜類、果樹等の経済性の高い農産物の導入に関する調査及び実施指導を行う。

〇ムスタン郡ツクチェ地区
・消費地から遠隔の立地にあるため、市場性、経済性と併せて、地域性のある農産物について調査を行う。

〇実施時期  適時     実施者  農業技術者

(2)関連機関・団体等との連携事業

開発途上国の実情と発展方向に即した農業協力を一層推進するため、日本国内の活動機関や農業団体、農業者等との連携を図り、質の高い支援活動、技術協力に資するものとする。

2、開発途上国の農業団体及び学校団体への助成及び支援事業

(1)現地事務管理所助成事業

当団がネパール国において行う事業の調査、実施状況、運営を効率的かつ円滑に行うためのパートナーとして、現地に設置されている法人ジャイチネパールが今年度内に解散の状態となるため、ネパール事業の連携を保つための新たなパートナーを選択し、引き続き当事務局の運営を支援する。
〇事務所所在地  ネパール国カトマンドゥ市
〇職員体制   支配人 1  事務局員 1
〇主要業務   ・支援対象学校の維持管理、情報の収集
・地域住民の要望聴取
・当団体(ジャイチ)の活動に参加する者の受入れ

(2)カカニ実験研修農場助成事業

地域農業者により当農場の機能を生かすべく、農産物栽培実証や農業と観光の連携に向けた取組が進められており、地域への効果が期待されている。また、隣接するカカニ・ブライター学校での農業教育の連携も想定しながら、適切な圃場の維持管理を継続するための支援を行う。

(3)レカリ・バシファント学校助成事業

当学校は、政府及び地域の学校運営委員会により自立運営が順調に行われているが、教室棟など建築歴年の経過による損傷ヵ所の修繕や改修には自主財源が乏しいことから、設立母体として学校環境を維持するための支援を継続して実施する。
〇所在地  ネパール国マクワンプール郡ナムタール村
〇生徒数  幼稚園クラス 1、 1~10学年クラス 10   男子 131人 女子 132人  計263人

(4)カカニ・ブライター学校助成事業

カカニ村内の公立学校として直接の管理運営は村の学校運営委員会が行っており、生徒数も増加してきたことから、更なる教室棟の整備が進められている。適切な学校運営が図られるようレカリ校と同様に設立母体として継続支援を行う。
〇所在地  ネパール国ヌワコット郡カカニ村
〇生徒数  幼稚園クラス 4、 1~10学年クラス 10   男子 150人 女子 166人  計316人

(5)総合指導員派遣事業

当該支援事業の実施にあたって、その管理運営の適切な執行を図るため、定期的に報告を求めるとともに、現地に於いて調査及び実地指導を行う。
〇実施事項
・助成事業の執行状況の確認
・現地要望事項等の把握と事業実施に向けた調査研究
〇実施者   理事、事務局員
〇派遣時期  適時  人員と派遣時期は状況に応じて実施する

(6)奨学金里親制度事業

奨学生と里親との連絡調整のための事務を継続する。

3、開発途上国に関する農業及び教育の啓発事業

(1)現地視察研修事業(スタディツアー)

当団の活動への理解と支援者の拡大を図るため、広く国内に参加者を募り、当団が実施しているネパールでの事業地及び農業・農村の現地視察を行い、併せて、現地関係者との相互交流を推進する。

◇研修対象場所  ネパール国 カカニ・ブライター学校、レカリ、バシファント学校、カカニ地区農村ほか                   ◇実施方法   機関紙、ホームページ等で周知

(2)開発途上国の農業・文化案内及び視聴覚教材貸出し事業

開発途上国の現状、文化、習慣、思想などに関する各種情報を提供するため、国際交流事業等に積極的に参加して活動を紹介するとともに、当団事務所内に資料コーナーを設け、無償で閲覧、貸出しを行う。

閲覧時間等:月・水・金の午前10時から午後3時を基本とする。

(3)歯科医療保健協力事業

開発途上国の保健医療の実態を調査するとともに、現地の関係機関との連絡調整により健康衛生活動に協力する。

《第16期収支予算書》

自 2025年 4月 1日
至 2026年 3月31日

科目 予算額 前年度予算額 増減
ⅰ 一般正味財産増減の部 (単位千円)
 1.経常増減の部
  (1)経常収益
   ①基本財産運用益 1,809 1,848 △39
   ②特定資産運用益 90 90 0
   ③受取寄附金 1,600 1,800 △200
   ④受取補助金 0 1 △1
   ⑤雑収益 11 11 0
   経常収益計 3,510 3,750 △240
  (2)経常費用
   ①事業費 3,482 5,542 △2,060
   ②管理費 678 708 △30
   経常費用計 4,160 6,250 △2,090
    当期経常増減額 △650 △2,500 1,850
 2.経常外増減の部
  (1)経常外収益 0 0 0
   経常外収益計 0 0 0
  2経常外費用 0 0 0
   経常外費用計 0 0 0
   当期経常外増減額 0 0 0
   当期一般正味財産増減額 △650 △2,500 1,850
   一般正味財産期首残高 72,450 74,950 △2,500
   一般正味財産期末残高 71,800 72,450 △650
ⅱ 指定正味財産増減の部
 ①受取寄附金 0 0 0
  当期指定正味財産増減額 0 0 0
  指定正味財産期首残高 9,694 9,694 0
  指定正味財産期末残高 9,694 9,694 0
ⅲ 正味財産期末残高 81,494 82,144 △650

第15期事業実績  (2024年4月1日から2025年3月31日)

(総括)

事業対象地であるネパールでの支援事業は概ね所期の目的を達成してきたことから、今後の活動についてパートナーとしての現地法人と協議を進めたが、現地法人は解散することを決定したため、継続して支援すべき事業についての調整を引き続き検討していくことにした。

開発途上国への農業技術の普及事業

農業技術者派遣事業

ネパール国カカニ地区において農業技術の普及の成果であるイチゴ栽培について、11月に事務局長が現地圃場を巡回して栽培状況の確認と指導(2日間)を行った。全般的に栽培技術が向上して安定した生産が行われるようになってきており、一段と周辺地域への広がりが見られている。      ナムタール地区の野菜栽培地では、主力のキャベツ、カリフラワーに根こぶ病の発生は依然として見られているが、引き続き圃場の輪作の徹底と耐病性品種の試作を検討した。

関連機関・団体等との連携

指導地域に見られる農作物の病害等の対策について、国内地元農業者からの情報を収集するとともに、種苗業者から対応が可能と思われる品種の提供を受け、ネパールの農業者に繋げた。

開発途上国の農業団体への助成及び支援事業

現地事務局助成事業

当団の活動地であるネパール国で実施する農業団体や学校団体への支援事業を現地でサポートする現地法人(ジャイチネパール株式会社)の事務局運営について支援を行った。しかし、当該法人にあっては、学校の公立化への移行や農場の民営などこれまで直接係わる事業が終了し、更なる事業を行う必要が無くなったとして7月に業務を停止し、現在、解散の手続きに入っていることから、新たなサポート体制を検討している。

カカニ実験研修農場助成事業

カカニ村の実践団体により各種農産物の栽培実証と体験型宿泊施設が整備され、新たな農場の利活用が行われている。

レカリ・バシファント学校助成事業

設立母体である当団として、学校施設のメンテナンスや環境改善のための支援を継続して実施した。また、施設面ばかりでなく、ジャイチネパールのスタッフとともに訪問した際の助言や指導が保護者や学校関係者のモチベーションと学校の改善につながっているとの学校側の評価もあり、学習成果の向上に役立つ研修などの支援も求められている。

所在地  ネパール国マクワンプール郡ナムタール村   生徒数  幼稚クラス1・1~10年生 10クラス  264人

カウレデビ・カカニ・ブライター学校助成事業

公立学校として、学校運営委員会が中心となって管理運営が行われており、行政も大きく係るようになり生徒数も増加していることから、新たな教室棟の建設が必要となり、建設資金について政府やネパール国内外の支援団体への要望が行われている。レカリ校と同様に設立母体として、今年度は校舎の屋根の塗装に係わる費用の支援を継続して行った。

所在地  ネパール国ヌワコット郡カカニ村    生徒数  幼稚クラス4・1~10年生 10クラス  316人

総合指導員派遣事業

ネパール国での支援地において各種助成事業の使途、管理の点検と支援活動の課題や今後の方向等を調整するため、11月に理事長ほか理事2名が現地を訪問して現地の状況を調査するとともに関係者と協議を行った。また、ネパール事務局からの月例の会計・事業報告、予算・決算について、日本在住のマン・シュレスタ氏の翻訳を介して指導管理を行った。

奨学金里親制度事業

当制度により就学した児童と里親との連絡事務を継続して行った。

開発途上国に関する農業及び教育の啓発事業

現地視察研修事業(スタディツアー)

今年度の当団のネパール国での活動地と開発途上国の文化と実情を紹介するためのスタディツアーは、現地事務局との日程調整により実施は見送りとなった。

農業・文化の紹介及び視聴覚教材の貸出し事業

当団の活動およびネパール国の文化や慣習などを地域の人たちに広く紹介するために、7月に丸子文化会館、9月には上田市内で開催された国際交流フェスティバルに参加し、パネル展示や民族衣装の着付け体験、バザーを行った。

歯科医療保健協力事業

支援対象となっている学校に医療経験のある当団の支援者が訪問した際に、学校の保健担当職員を対象に懇談と指導を行い、今後の協力のあり方を協議した。

《第15期収支決算書》  (2024年4月1日から2025年3月31日)

科目 決算額 前年度決算額 増減
ⅰ 一般正味財産増減の部 (単位千円)
 1 経常増減の部
  1経常収益
   ①基本財産運用益 1,996 1,958 38
   ②特定資産運用益 90 91 △1
   ③受取寄附金 1,743 1,815 △72
   ④受取補助金 0 0 0
   ⑤雑収益 18 10 8
    経常収益計 3,847 3,874 △27
  2経常費用
   ①事業費 3,074 3,199 △125
   ②管理費 646 658 △12
    経常費用計 3,720 3,857 △137
    当期経常増減額 127 17 110
 2 経常外増減の部
  1経常外収益
    経常外収益計 0 0 0
  2経常外費用
    経常外費用計 0 0 0
    当期経常外増減額 0 0 0
    当期一般正味財産増減額 △1,040 3,064 △4,104
    一般正味財産期首残高 46,349 43,285 3,064
  一般正味財産期末残高 45,309 46,349 △1,040
ⅱ 指定正味財産増減の部
 ①特定資産評価損 △74 147 △221
  当期指定正味財産増減額 △74 147 △221
  指定正味財産期首残高 15,707 15,560 147
  指定正味財産期末残高 15,633 15,707 △74
ⅲ 正味財産期末残高 60,943 62,056 △1,113

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